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マンションの防水工事を解説!工事の種類や進め方・費用など

防水工事
マンションの防水工事を解説!工事の種類や進め方・費用など

マンションの防水工事は、建物の老朽化や雨漏りのリスクを防ぎ、資産価値を維持するうえで欠かせないメンテナンスです。特に屋上やバルコニー、外壁などは経年劣化により防水性能が低下するため、定期的な工事が必要になります。そこで本記事では、防水工事の種類や進め方、費用、業者選びのポイントなどをわかりやすく解説します。

マンションの防水工事が必要な理由

マンションの防水工事が必要な理由

マンションの防水工事は、建物の劣化や雨漏りを未然に防ぐ重要なメンテナンスです。防水層には寿命があるため、適切な時期に工事を行わないと、建物全体に悪影響が及ぶリスクが高くなります。ここでは、防水工事が必要な理由を4つの視点から解説します。

防水層には耐用年数がある(経年劣化していく)

マンションの屋上やバルコニーに施されている防水層には、一般的に10~20年程度の耐用年数があります。

  • しっかりと施工されても、紫外線や風雨、温度差などで少しずつ劣化していく
  • 築年数が経過した建物では、ひび割れや膨れ、剥がれといった症状が発生する
  • 劣化を放置して防水機能が低下すると、雨水が建物内部へ侵入していく

そのため、定期的に防水工事を行い、防水性能を保つことが大切です。

劣化を放置すると雨漏りや構造体のダメージが発生する

防水層の劣化を放置してしまうと、雨水が屋上や外壁、バルコニーの隙間から建物内部に侵入するリスクが高くなります。

  • 雨漏りが起きると天井や壁にシミができ、構造体の鉄筋が腐食してしまう
  • 建物の構造体まで悪影響が及ぶと、耐震性が低下していく
  • 構造体が損傷すると、補修費用が高額になる

雨漏りが起きる前に防水工事を行うことが、結果的にコストを抑えることにもつながります。

住民間のトラブルを引き起こす

防水不良によって雨漏りが発生すると、居住者にとって大きなストレスになります。

  • 上階バルコニーからの漏水が下階の部屋に及ぶと、修繕負担のトラブルに発展する
  • 管理組合が対応を遅らせると、住民の不満が高まり信頼関係が損なわれる
  • 住民トラブルを防ぐためには、定期点検と計画的な防水工事が必要になる

防水工事は、マンション入居者の快適な生活を守るための対策です。

建物の資産価値が低下する

マンションの防水性能が低下し、外観に劣化が目立つようになると、建物全体の印象が悪くなります。

  • 雨漏りや外壁の剥がれがある物件は、購入希望者や入居希望者から敬遠されやすい
  • 適切にメンテナンスされていないマンションは、長期修繕計画の信頼性を損なう
  • 賃貸・売買の際に、資産価値が下がる原因になる

防水工事は、将来的な資産価値を維持するためにも欠かせません。

マンションに必要な防水工事の種類(ウレタン・シート・FRP・アスファルト防水)

マンションに必要な防水工事の種類(ウレタン・シート・FRP・アスファルト防水)

マンションでは、屋上やバルコニー、外廊下・共用廊下、外壁など、さまざまな箇所に防水工事が求められます。それぞれの場所には適した工法があり、劣化の進行や用途に応じて適切な処置を行うことが大切です。ここでは、代表的な防水工事の種類について解説します。

屋上防水

屋上は、マンションの中でも特に風雨や紫外線の影響を受けやすいため、防水工事の重要な箇所です。主な防水工法には「ウレタン防水」「シート防水」「FRP防水」「アスファルト防水」があります。

  • ウレタン防水:液状の樹脂を塗布して複雑な形状に対応し、施工性に優れている
  • シート防水:塩ビやゴム製のシートを貼り付け、均一な防水層を確保しやすい
  • FRP防水:軽量かつ耐久性が高く、戸建て住宅などにも広く使われる
  • アスファルト防水:厚みがあり耐久性が高い反面、施工に手間がかかる

屋上の形状や予算、メンテナンス性を踏まえて、適した工法を選ぶことが重要です。

バルコニー・ベランダの防水工事

バルコニーやベランダも雨風にさらされるため、防水工事が欠かせません。主に、「ウレタン防水」や「FRP防水」「シート防水」が採用されます。

  • ウレタン防水:段差や排水口などに柔軟に対応し、補修や再施工もしやすい
  • シート防水:施工期間が短く、均一な厚みで仕上げられる
  • FRP防水:耐久性が高く、歩行頻度が高い場所に適している

防水層の劣化により、階下への漏水リスクが高まるため、ひび割れや塗膜の剥がれなどを見つけた場合は、早めのメンテナンスが必要です。見た目にはわかりにくい劣化もあるため、専門業者による点検を定期的に受けましょう。ベランダ防水工事についてまとめてありますので、次の記事も併せてご覧ください。

https://ti-proof.com/column/veranda-waterproofing-work

外廊下・共用廊下の防水工事

外廊下や共用廊下は多くの住民が日常的に使用するため、防水性能だけでなく安全性や美観も重視される場所です。主に、「ウレタン塗膜防水」や「長尺シート仕上げ」などの工法が用いられます。

  • ウレタン防水:滑り止め材を混ぜることで転倒リスクを軽減できる
  • 長尺シート仕上げ:美観に優れ、耐摩耗性も高く、施工後すぐに歩行できる

外廊下・共用廊下の安全・快適な状態を保つためには、定期的なメンテナンスが必要です。

外壁のシーリング(コーキング)補修工事

外壁の目地やサッシ周りに充填されているシーリング(コーキング)は、雨水の侵入を防ぐ重要な役割を果たしています。

  • 5~10年程度で硬化・ひび割れが進み、隙間から水が入り込むリスクが高まる
  • 劣化を放置すると、建物内部の断熱材や鉄筋にまで水が浸入してしまう
  • 外壁塗装と合わせて、シーリングの打ち増し・打ち替えを行う必要がある

シーリング(コーキング)は目立たなくても、重要な防水部材ですので、定期的な点検と補修が必要です。シーリング防水工事についてまとめてありますので、次の記事も併せてご覧ください。

https://ti-proof.com/column/sealing-waterproofing-work

マンションの防水工事については、インスタでもご紹介していますので、併せてご覧ください。

マンション防水工事の進め方(管理組合の対応手順)

マンション防水工事の進め方(管理組合の対応手順)

マンションの防水工事は、建物全体に関わる大規模なメンテナンスであるため、計画から実施までに管理組合が果たすべき役割は非常に重要です。ここでは、管理組合が防水工事を進める際の基本的な手順とポイントについて分かりやすく解説します。

事前調査と劣化診断

防水工事を始めるにあたって、まず必要なのが事前調査と劣化診断です。工事の必要性を客観的に判断するために欠かせません。

  1. 防水層の状態を把握するために、専門業者に目視・打診・断面調査を依頼する
  2. 劣化の箇所と程度、雨漏りの有無などを明らかにし、報告書にまとめてもらう
  3. 診断結果は、工事の内容や範囲、費用を決定するための重要な資料となる

マンション防水工事を計画する際は、正確で詳細な調査と診断を通じて、「どれくらい劣化が進んでいるのか」を見極めることが第一歩です。

住民への説明会と総会での議決

防水工事を正式に実施するためには、管理組合の総会での議決が必要です。特に工事費用が高額になる場合は、通常決議ではなく特別決議が求められることがあります。

  1. 総会前に、住民への説明会を開催する
  2. 調査結果や工事の必要性、見積金額や工期、使用する工法などを丁寧に説明する
  3. 住民の理解と納得を得ることで、スムーズに議決を得られる

説明不足によるトラブルを防ぐためには、専門家を交えた説明会の開催がおすすめです。

工事の計画と住民への周知

議決後は、工事の具体的な計画を立てる段階です。工期・工程・使用資材・施工方法などを施工業者と打ち合わせし、スケジュールを確定させます。

  • 足場の設置・騒音・バルコニーの使用制限などで、住民の生活が悪影響を受ける
  • 工事前には、書面や掲示物、説明会などで住民に周知する

「いつ、どこで、どんな作業があるか」を明確に伝えることで、住民の不安や不満を軽減し、協力体制を築きやすくなります。

工事中の注意点と安全対策

防水工事中は、住民の生活や安全に配慮した管理が求められます。

  • 足場の転落防止や資材搬入・搬出時の動線確保、火気使用時の安全対策などを徹底する
  • 工事の進行状況や予定変更などについて、随時掲示やアナウンスを行う
  • 施工業者には、作業員のマナーや清掃状況などを徹底してもらう
  • トラブルが発生した場合は、迅速かつ誠実に対応する

居住者のストレスを最小限に抑えることで、住民との信頼関係を保つことができ、円滑な工事の進行と住民の満足度向上につながります。

マンション防水工事の費用と見積もり

マンション防水工事の費用と見積もり

マンションの防水工事を検討する際には、「どれくらい費用がかかるのか」も気になります。防水工法や建物の規模、使用する材料などによって、工事費用は大きく変動します。工事後のトラブルを防ぐには、見積書を正確にチェックすることが重要です。ここでは、工事費用の相場や変動要因、見積書のチェックポイントについて解説します。

費用の相場

マンション防水工事費用の相場は、施工の箇所や面積などによって異なりますが、1㎡あたり3,000~10,000円程度です。100㎡程度の屋上であれば、30万~100万円程度がかかります。

  • 小規模なバルコニーや共用廊下なら、1か所あたり数万~十数万円程度で収まる
  • 建物の構造や施工条件によって追加費用が発生することもある

実際の工事費用を確認するためには、見積もりを取ることが必要です。防水工事費用についてまとめてありますので、次の記事も併せてご覧ください。

費用の変動要因(面積・工法・施工環境)

防水工事費用は、面積や工法、施工環境などによって大きく変動します。

  • 施工面積が広くなるほど高くなる
  • ウレタン防水やシート防水は比較的安価で施工しやすいが、耐久性に劣る
  • FRP防水やアスファルト防水は耐久性があるが、施工費が高くなる
  • 下地の状態が悪い場合や足場が必要な高所作業では、追加の費用がかかる

したがって、見積もりの根拠を確認することで、「工事費用が適正価格かどうか」を判断しやすくなります。

見積書のチェックポイント

見積もりを取ったら、工事費用の合計金額だけではなく、内訳に注目することも大切です。以下のポイントをチェックしましょう。

  • 内訳(足場代・材料費・施工費・諸経費など)が明記されているか
  • 施工の単価や数量が明確に記載されているか
  • 材料の種類や工法が説明されているか
  • 税抜価格・税込価格が記載されている
  • 施工保証やアフターサービスが付いているか

上記のポイントをチェックすることで、契約後の追加請求やトラブルを防ぎやすくなります。分からない内容があれば、遠慮せず業者に質問しましょう。丁寧に説明してくれる業者であれば、信頼性が高いです。

信頼できる防水工事業者を選ぶポイント

信頼できる防水工事業者を選ぶポイント

マンションの防水工事は大がかりで費用もかかるため、施工を依頼する業者の選定は非常に重要です。適切な施工を行わないと、防水性の低下や雨漏りの再発が起こりやすくなります。ここでは、信頼できる防水工事業者を選ぶポイントをご紹介します。

施工実績や口コミ・評判

防水工事業者を選ぶ際には、施工実績や口コミ・評判を確認することが大切です。

実績が豊富な業者には、多様な現場に対応してきた経験があるため、建物の状況に応じた柔軟な対応が期待できます。複数のマンションで施工を行ってきた業者であれば、管理組合や住民とのやり取りにも慣れており、トラブルを避けるノウハウを持っている可能性が高いです。

また、実際に依頼した消費者の口コミや評価も参考になります。インターネットのレビューサイトや比較サイト、SNSなどで調査すると、各業者の信頼性を確認できるのです。

施工保証とアフターサービスの有無

信頼できる業者は、完了後の施工保証やアフターサービスが充実しています。防水工事は完成して終わりではなく、施工後のメンテナンスや不具合の対処も非常に重要です。

たとえば、「施工後5年間の無償対応」「施工後の定期的な無料点検」といったサポートは、責任を持って仕事をしている証拠です。反対に、施工保証の説明が曖昧な業者や契約書に記載がない場合は注意が必要です。

安心して依頼するためには、施工保証の範囲やアフターサービスの期間を正確に把握しておきましょう。

管理組合・住民とのやり取り

マンションの防水工事では、住民との調整や工事スケジュールの共有など、管理組合とのやり取りが非常に多く発生します。そのため、工事業者が管理組合とのコミュニケーションに慣れているかも重要なポイントです。

経験豊富な業者であれば、説明会の開催や文書の作成、住民への配布物作成などを積極的にサポートしてくれます。また、工事中のクレーム対応やスケジュール調整なども柔軟に対応してくれるため、管理組合の負担が軽減されます。

工事業者を選定する際には、「管理組合・住民とのやり取り」についても確認しましょう。

マンション防水工事に関するよくある質問

マンション防水工事に関するよくある質問

マンションの防水工事を検討する際には、多くの方が生活への影響や工事のタイミング、費用面などについて不安を感じるものです。ここでは、よくある質問と回答をまとめましたので、工事をスムーズに進めるために事前に疑問を解消しておきましょう。

工事期間中は生活に悪影響が出ますか?

はい、防水工事中は生活にある程度の悪影響が生じますが、工夫次第で抑えることが可能です。

  • 足場の設置、資材の搬入、作業時の騒音・振動などが発生する
  • 専有バルコニーや共用廊下などが、一時的に使用できなくなる
  • トラブルを避けるために、なるべく居住者の生活に配慮した施工計画を立てる
  • 工程や制限内容を事前に住民へ周知することで、混乱を避けやすくなる

住民説明会や掲示板などを通じて情報を共有することが、円滑に工事を進行するための鍵となります。

大規模修繕と同時に行うべきですか?

はい、大規模修繕のタイミングに合わせて、防水工事を計画するのが一般的です。大規模修繕では、屋上や外壁の修繕、共用部分の更新などが計画的に行われます。

  • 同時に行うことで、足場代などのコストを抑えられる
  • 工事の回数を減らして、居住者の負担を減らせる

ただし、部分的に劣化が進んでいる場合は、修繕の時期を待たずに単独で防水工事を行うことも検討してください。状況に応じて判断し、長期的な修繕計画との整合性を図ることが重要です。

国や自治体の補助金・助成金などを活用できますか?

はい、マンションの防水工事を含む大規模修繕に対して、申請条件を満たせば補助金・助成金などを受給できます。

  • 省エネ・環境・耐震などの対策を目的とする工事が対象となる
  • 申請の条件や期限などは、制度によって異なる
  • 工事を計画する際は、早めに自治体やマンション管理士などに相談する

たとえば、埼玉県越谷市には、大規模修繕などが行われたマンションに対する固定資産税の減額制度があります。補助金・助成金ではありませんが、減税の方法で金銭的な支援を受けられるのです。

参照元:埼玉県越谷市「大規模修繕などが行われたマンションに対する固定資産税の減額制度」

定期点検の頻度はどれくらいですか?

少なくとも5年に1回を目安に、マンションの防水性能を点検するのが望ましいです。

  • 防水層は、施工後すぐではなく、紫外線や風雨によって徐々に劣化していく
  • ひび割れや膨れなどのサインを早期に発見できれば、大規模な修繕を避けられる
  • 築年数が経過しているほど、点検の頻度を高める

長期的に防水性能を維持し、将来的な大規模修繕の費用を抑えるためにも、定期的な点検と部分補修を習慣化することが大切です。

防水工事でマンションの資産価値と安全を守ろう

マンションの防水工事は、雨漏りや建物の劣化を防止するだけでなく、資産価値を維持するためにも欠かせない工事です。適切な時期に点検・補修を行うことで、将来的な修繕費の削減や住民トラブルの回避にもつながります。管理組合と住民が協力し、計画的に進めることが、安全で快適な住環境づくりを進めやすくなります。

Ti-PROOFでは、専門的な知識と豊富な実績をもとに、お客様のベランダに適した防水工事をご提案しています。

確かな品質と安心のアフターサービスで建物の資産価値を守りますので、まずはお気軽にご相談ください。

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