ベランダ防水工事を解説!必要性から工法の種類・費用相場・工事の流れまで


ベランダは風雨や紫外線の影響を受けやすく、経年とともに防水層が劣化して、雨漏りの原因になることがあります。被害を未然に防ぐには、適切なタイミングで防水工事を依頼することが重要です。そこで本記事では、ベランダ防水工事の必要性から工法の種類、費用相場、工事の流れまでをわかりやすく解説します。
ベランダ防水工事が必要な理由とは?

ベランダは雨や紫外線に常にさらされており、防水層が劣化しやすい場所です。防水工事を怠ると雨漏りや建物の劣化、資産価値の低下、さらには近隣トラブルにつながるリスクもあります。ここでは、ベランダ防水工事の必要な理由を詳しく解説します。
雨漏りを防ぐ
ベランダの防水工事は、建物内への雨水の浸入を防ぐために不可欠です。防水層が劣化すると、雨がベランダの隙間やひび割れから浸入し、天井や壁にシミができる被害などを引き起こします。
- 特に木造住宅では、雨水によって柱や梁が腐食するリスクが高まり、耐震性にも悪影響を及ぼす
- 初期の雨漏りは目に見えにくいため、気づいたときには被害が広がっている場合もある
定期的な点検と適切なタイミングの防水工事によって、深刻な雨漏りのトラブルを未然に防ぐことができます。
カビ・ダニの発生を抑える
防水性が失われたベランダから雨水が浸入すると、建物内部の湿度が上昇し、カビやダニの繁殖を招きます。快適な住環境を保つうえで、注意が必要です。
- カビやダニはアレルギーや喘息などの健康被害を引き起こす要因になる
- 特に小さな子どもや高齢者が暮らす住居では、室内の湿気対策は重要になる
防水工事を行うことで、ベランダからの水分の浸入を遮断し、建物内部を乾燥した清潔な状態に保つことができます。結果として、居住者の健康と快適さを守ることにもつながります。
建物の資産価値を守る
防水工事を定期的に行うことは、建物の外観や構造の劣化を防ぎ、資産価値を維持することにもつながります。
- ベランダのひび割れやシミなどが放置されていると、見た目の印象が悪くなる
- 外観が手入れされていないと、売却査定時に評価が下がる恐れがある
- 目に見えない部分の劣化が進むと、将来的に大規模な補修工事が必要となる場合もある
定期的なメンテナンスと防水工事を実施することで、建物の寿命を延ばし、資産としての価値を守ることができます。
近隣トラブルを回避する
特にマンションやアパートなどの集合住宅では、ベランダの防水不良によって下の階に水漏れが発生するリスクがあります。
- 上階からの漏水で、下階の天井や壁紙にシミや剥がれが生じる
- 損害賠償の対象になると、住民同士のトラブルを引き起こす
- 関係性の悪化を招くだけでなく、余計な修繕費用や精神的なストレスも生じてしまう
防水工事は、自分の家を守るだけでなく、周囲との良好な関係を保つうえでも重要な役割を果たします。
ベランダ防水工事の種類と特徴

ベランダの防水工事には、建物の構造や使用状況に応じて複数の工法があり、それぞれにメリット・デメリットが異なります。ここでは、主に用いられる防水工法の特徴をわかりやすく解説します。
ウレタン防水
ウレタン防水は、ベランダ防水で広く採用されている工法です。液状のウレタン樹脂を塗り広げるだけで施工でき、狭い場所や複雑な形状にも対応しやすいからです。
- 継ぎ目のない仕上がりになるため、防水性能も高く、見た目もすっきりする
- 費用が比較的安く、工事期間も短いため、コストと使いやすさのバランスに優れている
- 定期的なメンテナンスを心がければ、10年前後の耐用年数が期待できる
ただし、乾燥に時間がかかる点や施工技術によって仕上がりに差が出る点には、注意が必要です。
シート防水
シート防水は、塩ビやゴムのシートをベランダの床面に接着して防水層を形成する工法です。
- 工場で品質管理されたシートを使うため、均一で安定した防水性能が期待できる
- 耐候性や耐久性にも優れ、紫外線に強い素材を選べば劣化の進行を遅らせられる
- 定期的なメンテナンスを心がければ、耐用年数は15年前後である
ただし、施工時に床面が平らでないとうまく密着せず、防水性能が下がる恐れがあります。また、複雑な形状や狭いスペースには不向きで、施工範囲が限られることもあります。
FRP防水
FRP防水は、繊維強化プラスチック(Fiber Reinforced Plastic)を用いた防水工法です。非常に高い強度と耐久性があり、人が頻繁に歩くベランダやバルコニーに適しています。
- 樹脂をガラスマットにしみ込ませて硬化させ、非常に硬く、傷にも強い仕上がりになる
- 乾燥が早く、1~2日で施工が完了する
- 定期的なメンテナンスを心がければ、耐用年数は15年前後になる
一方で、費用は、他の工法よりもやや高めです。また下地の動きに弱く、木造住宅などの動きが大きい建築構造では、ひび割れが生じることがあります。
アスファルト防水
アスファルト防水は、古くから使われている伝統的な防水工法で、アスファルトを加熱してシート状の防水材と交互に積層します。
- 防水性能が非常に高く、耐久性は20年前後と長寿命である
- 特に、大型の屋上やビルの防水に多く用いられる
- 防水性を最優先する場合に選ばれることが多い
ただし、施工には火気を使うため安全管理が必要で、一般住宅のベランダではあまり採用されません。また、施工に手間と時間がかかるため、他の工法より費用が高くなる傾向があります。
ベランダ防水工事の費用相場

ベランダ防水工事の費用は、工法の種類や施工面積、下地の状態などによって大きく異なります。施工内容を正しく理解しておかないと、思わぬ追加費用が発生する場合もあります。ここでは、1㎡あたりの単価の目安や工事費用の内訳、見積もり時のチェックポイントを詳しく解説します。
1㎡あたりの単価と合計費用の目安
ベランダ防水工事費用の単価は、一般的に1㎡あたり3,000円〜1万円程度です。たとえば10㎡のベランダであれば、合計費用の目安は3万〜10万円程度になります。
- ウレタン防水の単価 :1㎡あたり3,000~7,000円程度
- シート防水の単価 :1㎡あたり4,000~8,000円程度
- FRP防水の単価 :1㎡あたり6,000~9,000円程度
- アスファルト防水の単価:1㎡あたり7,000~1万円程度
ただし立地や施工面積などの条件によって、工事費用は変動します。複数の業者から見積もりを取って比較することが大切です。防水工事の費用について詳しくまとめてありますので、次の記事も併せてご覧ください。
https://ti-proof.com/wp/column/waterproofing-work-cost
工事費用の内訳
ベランダ防水工事の費用は、主に「材料費」「施工費(人件費)」「下地補修費」「諸経費」に分かれます。
- 材料費:使用する防水材やプライマーの種類や量によって変動する
- 施工費:作業員の人数や作業時間に応じて決まる
- 下地補修費:既存の防水層や下地の状態が悪い場合は補修や撤去作業が必要になる
- 諸経費:足場・養生費用や駐車場代、施工監理費などが含まれる
狭小スペースや複雑な形状、短納期の工事などの場合には、施工費用が高くなります。依頼する前に、見積もりの明細をよく確認しましょう。
見積もり時のチェックポイント
ベランダ防水工事の見積もりを依頼する際は、内訳が明記されているかを必ず確認しましょう。「一式」とだけ記載されている見積もりには、追加費用が発生する場合があるからです。
- 施工範囲・使用材料・下地補修の有無・保証期間などが明記されているか
- 施工後のアフターサービスや保証内容があるか
信頼できる業者は、見積りの明細を丁寧に説明してくれます。依頼前の打ち合わせで不明点をクリアにしておくことで、万が一のトラブルにも安心して対応できます。
ベランダ防水工事の流れと工期

ベランダ防水工事は、ただ防水材を塗るだけではなく、事前調査から施工後の点検までに複数の工程が必要です。正しい手順で施工することで、防水性能を長持ちさせることができます。ここでは、ベランダ防水工事の流れと工期について、わかりやすく解説します。
事前調査による劣化状態の診断
防水工事を始める前には、まずベランダの状態を丁寧に確認する事前調査が行われます。なぜなら「既存の防水層がどの程度劣化しているか」によって、適した工法や補修の範囲が大きく変わるからです。
防水層のひび割れや膨れ、シミなどが確認された場合には、下地処理が必要です。
- 劣化の程度が軽度であれば、防水材の重ね塗りができる
- 重度の劣化が見つかれば、防水層の撤去が必要になる
適切な診断をもとに適した施工計画を立てることで、施工後のトラブルを防ぐことができます。
施工前の準備
工事に入る前には、ベランダの荷物の撤去や養生など、いくつかの準備作業が必要です。
- プランターや物干し台などを一時的に移動させ、作業スペースを確保する
- 作業中に塗料や材料が飛び散らないように、養生シートで窓や手すりを保護する
- 工事中に電源や水道を一時的に使用する場合は、事前に使用可否を確認しておく
以上の準備が丁寧に行われることで、工事が安全かつ効率的に進み、仕上がりにも悪影響が出にくくなります。
各工程の流れ
防水工事の工程は工法によって異なりますが、基本的な流れは共通しています。
- 高圧洗浄機でベランダ床面を清掃し、ほこりや汚れ、カビなどを除去する
- 下地にひび割れや浮きがある場合は、補修作業を行う
- プライマー(下塗り剤)を塗布して、防水材の密着性を高める
- 防水材を塗布または貼り付けし、必要に応じて複数回に分けて塗り重ねる
- トップコート(保護塗装)を仕上げに塗り、全体を乾燥させる
- 施工状態を点検し、必要に応じて補修を加える
以上の工程を経て、依頼主に引き渡されます。
工期の目安
ベランダ防水工事の工期は、数日から1週間程度が目安です。ただし施工面積や防水工法、天候などによって異なります。
- 10㎡程度の施工面積で、ウレタン・シート・FRP防水なら、3日前後で済む
- アスファルト防水の場合は、1週間前後かかる場合もある
- 雨が降ると作業が中断されるため、悪天候が続く季節には日程に余裕をもたせる
- 劣化が進んだベランダでは補修作業が増え、工期も延びる
工事前にスケジュールを確認し、無理のない日程を組んでおくことが大切です。
ベランダ防水工事によくある質問と注意点

ベランダ防水工事を検討する際には、施工の方法や生活への悪影響、保証内容などの気になるポイントがあります。ここでは、実際に寄せられることの多い質問について、注意点を含めてお答えします。
DIYと業者による施工方法の違いは何か?
施工の品質や費用などです。確実な防水性能を求めるなら、専門業者に依頼するのが安全です。
施工の方法 | 施工の品質 | 施工の費用 |
DIY | 市販の防水材を使って、簡易的な防水処理を行うことができる 施工のムラや材料選定の誤りによって、防水効果が十分に発揮されないことがある | 材料費だけで済む |
工事業者 | 事前調査から下地補修、防水層の仕上げまで一貫して対応し、品質が安定する | 材料費に加えて、施工費や諸経費もかかる |
特に、下地の劣化やクラック(ひび割れ)を見落としたまま施工すると、すぐに水漏れが再発してしまいます。業者に依頼する方が費用はかかりますが、長期的に見ればコストパフォーマンスの高い選択です。
マンションでは管理組合に相談するべきか?
はい、マンションでベランダ防水工事を行う際は、必ず管理組合に相談しましょう。なぜならベランダは「専有部分」ではなく「共用部分」と見なされているケースが多く、個人の判断で勝手に工事を行うと規約違反になる恐れがあるからです。
- 一般的なマンション管理規約では、共用部分の修繕に管理組合の承認が必要になる
- マンション管理組合側が、防水工事のスケジュールを調整している場合がある
専有部分の防水工事を行う場合でも、工事の時期や内容について事前に合意を得ておくと安心です。トラブルを避けるためにも、必ず管理組合に事前に相談しましょう。
工事中に洗濯物は干せるか?
いいえ、基本的に防水工事中はベランダに洗濯物を干すことはできません。作業スペースを確保する必要があり、防水材による汚れ・臭いが付着するリスクがあるからです。
- 特に塗膜防水では、液体の防水材を使用するため、風で飛散することがある
- 工事中は養生シートでベランダ周囲が覆われるため、通気性や日当たりが悪い
- 工事期間中は、室内干しやコインランドリーの利用を検討しておく
事前に工事業者から工程表を出してもらい、洗濯物を干せない期間を把握しておきましょう。
工事後の保証期間やアフターサービスはあるか?
はい、一般的な防水工事業者では、施工後に保証書を発行しており、一定期間内であれば定期点検や無償修理などが受けられます。
- 施工保証の期間は、一般的に5年〜10年程度である
- 施工業者によって、アフターサービスの内容やスピードが異なる
施工保証の内容は、施工環境や防水材の種類などによっても変わるため、契約前にしっかり確認することが重要です。万が一の際にしっかり対応してもらえるように、信頼できる業者を選ぶことがポイントです。
ベランダ防水工事の定期メンテナンス

防水工事を一度行ったからといって、ずっと安心できるわけではありません。ベランダの防水層は経年とともに劣化するため、定期的なメンテナンスが必要です。ここでは、防水層の寿命やメンテナンスの頻度、防水診断のタイミング、劣化を早める原因と対策について解説します。
防水層の寿命とメンテナンスの頻度
ベランダの防水層には寿命があり、工法ごとに異なります。
- ウレタン防水 :10年前後
- シート防水 :15年前後
- FRP防水 :15年程度
- アスファルト防水:20年前後
寿命まで何もせずに放置するのではなく、5年ごとを目安に定期的な点検と部分的なメンテナンスを行うことで、防水性能を長持ちさせることができます。特に、トップコート(表面の保護塗装)は紫外線や風雨によって早く劣化するため、3〜5年ごとに塗り替えが推奨されています。
こまめな対応が、大掛かりな工事を避けるカギです。
防水診断を受けるタイミング
防水層の状態を正確に把握するためには、専門業者による「防水診断」を受けることが重要です。
防水診断を受けるタイミングは、以下の通りです。
- 防水工事から5年を経過したとき
- ベランダの床面にひび割れ・膨れ・色あせ・水たまりが発生したとき
- 降雨のあとに、下階にシミやカビが発生したとき
防水診断では、目視のほか赤外線カメラを使って内部の状態をチェックします。早期に問題を発見できれば、最小限の補修で済む可能性が高まります。トラブルを未然に防ぐには、早めの対応が重要です。
防水層の劣化を早める原因とメンテナンス方法
防水層が早く傷む原因には、直射日光や風雨、排水不良、荷物の重みや引きずりなどがあります。特に排水口のつまりや泥・落ち葉の蓄積が、雨水の滞留を招き、防水層に負担をかけてしまうのです。
次のようなメンテナンスを心がけましょう。
- ベランダを清潔に保ち、排水口をこまめに掃除する
- 重い物を床に直置きせず、ゴムマットなどを敷して負荷を分散させる
- トップコートの塗り替えや劣化部分の早期補修を行って、防水性能の低下を防ぐ
日頃の小さな心がけが、防水層の寿命を大きく延ばします。
ベランダ防水工事を信頼できる業者に依頼しよう
ベランダの防水工事は、建物の寿命や快適な住環境を守るために欠かせません。適した工法や定期的なメンテナンスはもちろん、信頼できる業者に依頼することが安心・安全な施工につながります。各業者の施工実績や保証内容、見積もりなどを比較し、丁寧な対応をしてくれる業者を選びましょう。
Ti-PROOFでは、専門的な知識と豊富な実績をもとに、お客様の所有する建物に適した防水工事をご提案しています。
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