外壁補修を解説!必要性・DIY・劣化症状・工法・費用・タイミング・業者選びなど


外壁補修は、建物の安全性や美観を保つために欠かせないメンテナンスです。外壁のひび割れや塗装の剥がれ、雨漏りなどを放置すると、大規模な修繕や建物の構造体へのダメージにつながる恐れがあります。そこで本記事では、外壁補修の必要性や方法、費用、業者選び、DIYまでをわかりやすく解説します。
外壁補修の基本情報

外壁補修は、住宅の美観や耐久性を保つために欠かせない作業です。外壁は紫外線や風雨によって徐々に劣化し、見えない部分のダメージも進行していきます。ここでは、外壁補修が必要な理由と放置するリスク、点検の頻度と補修のタイミングについて解説します。
必要な理由
外壁補修が必要な理由は、住まいを長持ちさせるためです。外壁は風雨や紫外線、気温差などの外的要因に常にさらされています。
- 年月とともに、外壁材のひび割れや塗膜の劣化などが生じる
- 劣化を放置すると、雨水が内部に侵入し、木材の腐食や断熱材の劣化を引き起こす
- 塗装の色あせや細かなヒビを放置すると、後から大規模な張り替えが必要になる
早い段階で補修を行えば工事の規模を抑えられ、費用負担を減らすこともできます。建物の資産価値を守るためにも、外壁のメンテナンスを定期的に行うべきです。
劣化を放置するリスク
外壁の劣化を放置すると、建物全体の寿命に悪影響を及ぼすリスクがあります。劣化が進行するほど、外壁材のひび割れや剥がれ、コーキングの隙間などから雨水が侵入しやすくなるからです。
- 建物内部の構造体にダメージを与える
- 湿気がこもることでカビやシロアリが発生しやすくなり、室内環境も悪化する
- 外壁の断熱性が落ちることで、冷暖房の効率が下がる(光熱費が上がる)
見た目の劣化だけではなく、目に見えないところでも問題が進行するため、外壁の状態に注意を払うことが重要です。
点検の頻度と補修のタイミング
外壁を点検する頻度は、5~10年に1回を目安としてください。なぜなら、一般的な外壁塗料やシーリング材の耐用年数が5~10年程度とされているからです。
- 塗料・シーリング材の耐用年数を超えると、防水性や密着力が低下し始める
- 立地条件や外壁材などによって、劣化のスピードには差が出る
- 点検ではチョーキング(白い粉の付着)やひび割れ、カビなどのサインをチェックする
劣化の症状が見られたら、専門業者による診断を受けて、必要に応じた補修を行いましょう。日当たりが強い場所や海に近い地域などでは、3~5年ごとの点検が望ましい場合もあります。
劣化症状別の外壁補修方法

外壁を補修する際は、劣化の症状に応じて適切な方法を選ぶことが重要です。ここでは、代表的な5つの劣化症状に対して、それぞれに適した補修方法を具体的に解説します。
塗装のチョーキング・ひび割れ・浮き・剥がれ
チョーキング・ひび割れ・浮き・剥がれの症状は、塗膜の劣化が進んで防水性が低くなっているサインです。
- チョーキング:塗料の顔料が表面に現れて、手で触ると白い粉が付く
- ひび割れ・浮き・剥がれ:外壁が雨水や紫外線のダメージを受けやすくなっている
- 補修方法:高圧洗浄・下地補修・再塗装を行う
以上の劣化に対する対処法は、高圧洗浄で汚れを落とし、下地を補修してから、再塗装する方法です。耐候性・防水性に優れた塗料を使うことで、長期的に外壁を保護することができます。
シーリング(コーキング)の剥がれ
シーリング(コーキング)の剥がれは、外壁材の継ぎ目やサッシ周辺でよく見られる劣化症状です。
- シーリング(コーキング)が縮んだり割れたりすると、隙間ができる
- 隙間が広がるほど、雨水が浸入するリスクが高くなる
- 補修方法には、打ち替えと打ち増しがある
古いシーリング材を撤去し、新しいシーリング材を充填する打ち替えに対して、打ち増しは古いシーリング材の上から新しいシーリング材を施工します。打ち替えのほうがコストがかかりますが、長期的な効果が期待されます。
シーリング(コーキング)についてまとめてありますので、次の記事も併せてご覧ください。
カビ・コケ・藻の発生
外壁にカビやコケ、藻が発生すると湿気がこもりやすくなり、外壁表面の防水性が低下していきます。
- 特に、日陰や風通しが悪い場所で発生しやすい
- 見た目の悪化だけでなく、外壁材の劣化を早める要因にもなる
- 高圧洗浄と再塗装で補修する
まず高圧洗浄機で表面の汚れを除去し、防カビ・防藻効果のある塗料で再塗装します。カビ・コケ・藻の再発を防止するには、換気や排水の見直しも必要です。
外壁材の割れ・反り・欠け・サビ
外壁材が反ったり欠けたりしている場合は、素材そのものの劣化が進行してしまいます。
- 窯業系サイディングでは、凍結や乾燥によってひび割れや反りが起こる
- 金属系サイディングのサビが進行すると、腐食が広がり、穴があく
- 外壁材の軽微な劣化であれば、パテ埋めや再塗装で部分的に補修する
- 外壁全体に劣化が進んでいるなら、外壁材の重ね張りで補修する
- 大きな損傷や広範囲のサビには、外壁材の張り替えで補修する
劣化状況が深刻な場合は、全面的な張り替えが必要になるため、専門家の判断を仰ぐことが大切です。
室内の雨漏り・湿気
室内で雨漏りや湿気が発生している場合は、屋根と外壁の取り合い部分の劣化が進んでいる恐れがあります。
- 屋根・外壁の表面だけでなく、構造体までダメージが及んでいるおそれがある
- 専門業者による屋根・外壁の調査と診断が必要になる
- 原因を特定してから、屋根・外壁の補修や防水処理などを行う
- 必要に応じて、内装のカビ除去や断熱材の交換も検討する
雨漏りを放置すると健康被害(アレルギーなど)を引き起こすため、早急な対応が重要です。外壁の補修方法については、インスタでもご紹介していますので、併せてご覧ください。
外壁補修の費用

外壁補修にかかる費用は、劣化状態や補修方法、建物の規模などによって大きく異なります。ここでは、補修方法別の単価や建物の種類による違い、見積書の内訳について解説します。費用の相場を把握しておくことで、予算が立てやすくなります。
補修方法別の単価
外壁補修費用の単価は、工法によって大きく異なります。
- 外壁材の部分補修:軽微なクラックなら、1mあたり1,000~3,000円程度
- 外壁材の重ね張り:サイディングなら、1㎡あたり4,000~12,000円程度
- 外壁材の張り替え:サイディングなら、1㎡あたり10,000~20,000円程度
- 外壁の再塗装 :1㎡あたり1,000~5,000円程度
- シーリング(コーキング)の打ち増し:1mあたり500~900円程度
- シーリング(コーキング)の打ち替え:1mあたり900~1,200円程度
劣化が広範囲に及ぶと補修費用も増えるため、早めに対応したほうが経済的です。外壁工事費用についてまとめてありますので、次の記事も併せてご覧ください。
建物の種類(戸建て・マンション・アパート)による違い
建物の種類によって、外壁補修にかかる費用には大きな差が出ます。
- 戸建て住宅:作業スペースが確保しやすく、シンプルな構造のため、費用は安く抑えられる
- 小規模のアパート:足場の組立や共用部分の管理が必要となるため、工事費用が割高になる
- 中高層のマンション:施工面積が広く、長期的な耐久性・防水性を求める場合はコストがかかる
建物の構造や外壁の素材によって適切な補修の方法や材料が変わるため、見積もり時には建物の特徴を踏まえた提案を受けることが大切です。
見積書の内訳
外壁補修の見積書には、さまざまな費目が記載されています。代表的な項目は、「仮設工事費(足場設置費)」「下地処理費」「材料費」「施工費(人件費)」「廃材処分費」などです。
見積書を確認する際は、以下の点をチェックしてください。
- 「一式」や「一括」といった曖昧な表記がないか
- 項目ごとに数量・単価・金額が明記されているか
- 追加費用の発生条件が事前に説明されているか
契約後のトラブルを防止するためには、見積書の不明点を遠慮せずに工事業者に確認することが重要です。
外壁補修を依頼する業者の選び方

外壁補修を成功させるには、信頼できる業者の選定が欠かせません。工事の価格や内容だけでなく、過去の実績や資格の有無、アフターフォローなども重要な判断材料です。ここでは、外壁補修を依頼する業者の選び方を6つに分けて解説します。
相見積もり
業者選定では、必ず複数の業者から見積もりを取る「相見積もり」を行いましょう。
- 同じ工事内容でも、数万円から十数万円の差が出ることもある
- 価格だけでなく、工事の内容や材料、説明などを比較する
- 見積書を比較することで、過剰な請求や不適切な提案内容を避けやすくなる
価格の安さだけで業者を選ぶのは危険です。不自然に安すぎる見積もりには注意し、「総合的に納得できるか」を判断基準にしましょう。
過去の施工実績
業者を選ぶ際は、過去にどのような工事を行ってきたかを必ず確認しましょう。
- 幅広い建物や外壁材に対応してきた業者には、適切な工事内容の提案が期待できる
- 施工前後の写真を公開している業者も、信頼性が高い
「同じ種類の建物の外壁補修を手がけた経験があるか」というように、具体的な施工実績を聞いてみると安心です。実績は技術力の裏付けにもなるため、必ずチェックしておきましょう。
資格や許可
外壁補修を安心して任せるには、「工事業者が適切な資格や許可を持っているか」も重要です。
- 外壁補修には、外壁診断士や塗装技能士、建設業許可などが関係する
- 資格・許可を保有している業者には、一定の施工技術と法令遵守の意識を期待できる
- 資格・許可を保有しない業者に依頼すると、事故やトラブルのリスクがある
工事業者の公式サイトやパンフレットなどで資格・許可の情報を確認したり、直接問い合わせたりしてみましょう。
施工保証やアフターフォロー
万が一のトラブルに備えるためには、施工後の保証・アフターフォローの制度がある業者を選ぶことが重要です。
- 「外壁塗装の保証期間は5年」「施工後1年間の雨漏り補修は無償」などと明記されていれば、工事後も安心して住まいを維持できる
- 工事完了後の定期点検や不具合への対応方法などのアフターフォロー体制も確認しておく
施工保証・アフターフォローの内容は、業者の誠実さや責任感の指標になります。
接客対応の丁寧さ
接客対応の丁寧さも、業者の信頼性を見極める大切なポイントです。
- 現地調査や見積もりの際に、説明が丁寧で質問にも真摯に答えてくれる業者であれば、施工中のやりとりもスムーズに進めやすくなる
- 押し売りや即決を迫る態度、不明瞭な説明の業者には、注意する
初回の対応から業者の姿勢をしっかり見極め、長く付き合えるパートナーかどうかを判断しましょう。
口コミや評判
外壁補修を依頼する業者を選ぶ際には、口コミや評判も参考になります。
- グーグルマップや比較サイト、SNSなどを活用して、リアルな評価を調査する
- 実際に業者に依頼した人の声から、施工の質や対応の良し悪しが分かる
- すべての口コミを鵜呑みにせず、極端に良い・悪い内容には注意する
複数の意見を参考にしながら、総合的に判断することが大切です。
外壁補修に関するよくある質問

外壁補修を検討する際には、疑問や不安が生じるものです。ここでは、DIYの可否やリフォームとの違い、依頼の流れ、保険の利用、悪質業者の見抜き方など、よくある質問にわかりやすくお答えします。
DIYでも対応できますか?
はい、軽微な補修であればDIYも可能ですが、基本的には専門業者に依頼することをおすすめします。外壁補修は見た目の改善だけでなく、建物の防水性や耐久性の維持にも関わる重要な作業だからです。
- 小さなひび割れや欠けなら、市販の補修材を使って対応できる
- 建物内部にまで悪影響がある場合や高所作業を伴う場合は危険が伴う
間違った処置をすると、かえって劣化を進行させてしまう可能性もあるため、慎重な判断が必要です。
全面的なリフォームとは違いますか?
はい、外壁の部分的な補修と全面的なリフォームでは目的や工法が異なります。
外壁工事 | 目的 | 工法 |
部分的な補修 | 部分的な劣化の修復 (外壁材のひび割れや 塗装の剥がれ、 シーリングの劣化など) | 外壁材の部分補修 シーリングの打ち増し・打ち替え 外壁の再塗装 |
全面的なリフォーム | 全体的な劣化の修復 デザイン変更 遮熱・断熱性能の向上 など | 外壁材の重ね張り 外壁材の張り替え 外壁の再塗装 |
目的や予算、外壁の状態などに応じて、適切な対応を選びましょう。
どのような流れで業者に依頼すれば良いですか?
外壁補修を業者に依頼する流れは、以下の5ステップになります。
- 現地調査の申し込み
- 劣化状況の診断と見積書の提示
- 契約内容の確認と工事日の決定
- 補修工事の実施
- 立ち合い検査と引き渡し
まずは複数社に見積もりを依頼し、工事の価格や内容を比較することが大切です。また、契約前には、工事の手順や施工保証の内容などについて確認しましょう。
火災保険を申請できますか?
はい、外壁補修の理由によっては火災保険を利用できる場合があります。
- 台風・雹・落雷などの自然災害による破損や損傷が原因であれば、「風災」として保険金が支払われる火災保険がある
- 一般的な火災保険では、経年劣化や施工不良は対象外となる
- 申請には、被害状況の写真や修理の見積書、工事の報告書などが必要になる
条件次第では、数十万円の費用を軽減できる場合もあります。外壁補修前に、必ず保険会社や担当業者に相談することが大切です。
悪質業者を見抜くポイントはありますか?
はい、悪質業者を見抜くには、以下のポイントをチェックしてください。
- 「今すぐ契約しないと値引きできない」と即決を迫るような営業
- 相場より極端に安い見積もり
- 工事内容の説明があいまいな場合
- 「無料点検」と称して突然訪問してくる業者
信頼できる業者は、見積もりや工程を丁寧に説明し、契約を急がせることはありません。複数の業者を比較し、口コミや施工実績を確認することで、悪質業者を回避しやすくなります。
外壁の定期点検と早めの補修を心がけよう
外壁の劣化は気づかぬうちに進行し、放置すると補修費用が膨らむ恐れがあります。定期的な点検を行って早めに補修することで、建物の寿命を延ばし、住環境を快適に保つことができます。小さな劣化のサインを見つけたら、信頼できる業者に相談しましょう。建物の安全性や資産価値を守るために、外壁のメンテナンスを怠らないことが大切です。
Ti-PROOFでは、専門的な知識と豊富な実績をもとに、お客様の所有する建物に適した外壁工事をご提案しています。
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