FRP防水の単価はいくら?費用相場や安く抑えるコツなどを解説
FRP防水は、住宅のバルコニーやマンションの屋上などに採用されている防水工法です。耐久性やメンテナンス性に優れていますが、実際に工事を検討する際に気になるのが「単価(費用相場)」です。そこで本記事では、FRP防水の1㎡あたりの単価から費用を左右する要因、費用を抑えるコツまで解説します。FRP防水を検討中の方は、適正価格を把握して安心して依頼できるように、ぜひ参考にしてください。
FRP防水とは?

FRP防水とは、FRP(Fiber Reinforced Plastics=ガラス繊維強化プラスチック)を用いた防水工法です。耐久性やメンテナンス性に優れているため、住宅やマンションのバルコニーに広く採用されています。ここでは、FRP防水の基本的な仕組みやメリット・デメリット、他の防水工法との違いについて詳しく解説します。
基本的な仕組み
FRP防水は、液体の樹脂とガラス繊維マットを重ねて硬化させることで、防水性の高い層を形成する仕組みです。硬化した樹脂で強固な膜を形成することで、水を通さないだけでなく強度や耐摩耗性を兼ね備えます。
- 住宅やマンションのバルコニー・屋上に施工できる
- 薄い層であっても、歩行や荷物の設置に耐えられる
- 軽量であるため、建物全体への負荷が少ない
FRP防水は、プラスチックと繊維の複合材を利用して、軽くて強い防水層を作り出します。
メリット・デメリット
FRP防水には丈夫で長持ちするメリットがありますが、施工条件によってはデメリットもあります。
| FRP防水のメリット | FRP防水のデメリット |
| 耐久性が高い (15年前後の防水性能) 短期間で施工できる 仕上がりが美しい | 振動や伸縮によりひび割れしやすい (下地の動きに追従できないため) 施工中に臭気が発生する (近隣への配慮が必要になる) |
以上のようにFRP防水の性能は高いですが、施工環境に合わせた工夫が必要になります。
他の防水工法(ウレタン防水・シート防水・アスファルト防水)との違い
FRP防水と他の防水工法との違いは、耐久性やコスト、仕上がりの品質などです。
| 防水工法 | メリット | デメリット |
| FRP防水 | 耐久性が高い 短期間で施工できる 仕上がりが美しい | ひび割れしやすい 施工中に臭気が発生する |
| ウレタン防水 | 柔軟性が高い (複雑な形状でも施工できる) | 耐久性が低い 施工のムラが出やすい |
| シート防水 | 耐久性が高い 施工のムラが少ない | 継ぎ目が劣化しやすい 複雑な形状に対応できない |
| アスファルト防水 | 耐久性がとても高い 施工の実績が多い | 重量がある コストがかかる |
FRP防水は、耐久性やコスト、仕上がりの品質などのバランスが取れた工法です。小規模な建築物や歩行・荷物の負荷がかかる場所などに適しています。
FRP防水の単価(費用相場)

FRP防水の単価は、施工を検討する際に気になるポイントです。単価や下地の状態、施工環境などによって、工事費用は変動します。ここでは、1㎡あたりの単価や費用を左右する要因について解説します。
1㎡あたりの単価
FRP防水の単価は、1㎡あたり6,000円〜9,000円程度が相場です。たとえば、10㎡のバルコニーを施工するなら、6万~9万円程度がかかります。
- 工事費用には、材料費に加えて工賃や養生費などが含まれる
- 施工面積が広いほど、合計費用は増える
ただし、大規模な施工では1㎡あたりの単価が下がり、割安になるケースもあります。
費用を左右する要因(下地の状態や施工環境など)
FRP防水の単価は、下地の状態や施工環境などによって大きく変わります。
- 下地が劣化している場合は補修工事が必要となるため、追加費用が上乗せされる
- 資材の搬入や作業スペースの確保が難しい施工環境では、人件費が増える
- 地域によって人件費の相場が異なるため、同じ施工面積でも費用が変わる
例えば、ひび割れや段差が多い下地では、樹脂を均一に塗るために下地処理が欠かせません。また、一般的に都市部では、地方に比べて1㎡あたりの単価が高くなります。
FRP防水工事費用を安く抑えるコツ

FRP防水の単価は下地の状態や施工環境などによって変動しますが、工夫次第で費用を抑えることが可能です。ここでは、相見積もりや部分補修、補助金・助成金といった工事費用を抑えるコツを解説します。
複数の業者から相見積もりを取る
FRP防水工事を依頼する際は、必ず複数の業者から相見積もりを取ることが大切です。同じ工事内容でも、業者によって工事の単価や保証などに差があります。
- 見積もりを比較することで、適正価格かどうかを判断しやすくなる
- 合計金額だけではなく、「材料費」「人件費」「諸経費」の内訳を確認する
- 工事費用だけではなく、施工後の保証やアフターサービスの内容も比較する
- 見積書の疑問点や不明点については、遠慮せず詳細を確認する
工事業者によって、費用が大きく異なる場合があります。相見積もりを取ることで相場を把握し、余分なコストを防ぎやすくなるのです。
定期的なメンテナンスを欠かさない
軽度の劣化に対しては、部分補修やトップコートの重ね塗りで対処することが重要です。劣化が進行して全面改修が必要になると、材料費や人件費が大幅に増えてしまいます。
- 表面のひび割れや小さな剥がれであれば、部分的に樹脂を補修するだけで防水性能を回復できる
- トップコートを定期的に重ね塗りすることで防水層の寿命を延ばせるため、大規模な改修を先送りできる
定期的なメンテナンスを欠かさないことで、防水層を長く維持しやすくなります。部分補修と重ね塗りが、長期的なコスト削減につながるのです。
補助金・助成金を活用する
FRP防水工事でも、申請条件を満たせば助成金や補助金を活用できるため、実質的な負担を減らせます。
- 自治体によっては、「住宅リフォーム」や「省エネ改修」などを対象にした補助金・助成金を支給している(※1)
- 工事業者によっては、申請手続きをサポートしてくれる
- 審査に通れば、工事費用の10〜20%程度を受給できる
補助金・助成金を活用することは、FRP防水工事費用を抑える大きな手段です。
FRP防水の施工手順

FRP防水工事では、複数の工程を順序良く進めることで高い防水性能を発揮します。下地処理から下塗り、中塗り、仕上げまでの手順を理解しておくと、工事の質や適正価格を判断しやすくなります。
下地処理
FRP防水において、下地処理は重要な工程の一つです。下地がきれいに整っていないと樹脂が密着せず、防水性能が十分に発揮されません。
- 既存の汚れやホコリを清掃し、ひび割れや段差を補修する
- 劣化して剥がれている古い防水層を除去し、補修する
下地処理を省略すると、硬化後に浮きや剥がれが生じやすくなり、せっかくのFRP防水の耐久性が大幅に低下してしまいます。丁寧な下地処理は、防水層の寿命を左右する基盤です。
下塗り(プライマー)
下塗り(プライマー)は、FRP防水層を下地にしっかり密着させるために欠かせない作業です。プライマーが接着剤のような役割を果たし、樹脂と下地との間に強固な結合を生みます。
- コンクリートやモルタルは表面に微細な凹凸があり、樹脂が定着しにくい
- ローラーや刷毛を使い、均一にプライマーを塗り広げる
- プライマーを塗布することで、密着性が飛躍的に向上する
下塗りを怠ると、施工後に樹脂層が剥がれたり浮いたりする原因になります。プライマーの塗布は、防水層の性能を高める必須工程です。
中塗り(ガラスマットと樹脂)
中塗りは、FRP防水の強度と防水性を決定づける重要な工程です。ガラス繊維マットと液状樹脂を組み合わせて硬化させることで、軽量かつ高強度の防水層を形成できます。
- プライマーを塗布した下地の上にガラスマットを敷く
- ガラスマットの上から樹脂を含浸させて、硬化させる
- 繊維で補強されたプラスチック層ができ、摩耗や荷重に強い仕上がりになる
住宅のバルコニーやマンションの屋上に施工すれば、歩行や設備の設置にも耐える強度を発揮します。中塗りの工程が不十分だと防水層が薄くなるため、耐久性が落ちて早期劣化につながってしまうのです。
仕上げ(トップコートと養生)
仕上げのトップコートと養生は、FRP防水を長持ちさせるために欠かせない最終工程です。トップコートには、紫外線や摩耗から防水層を守る役割があります。
- 硬化したFRP層の上に専用のトップコートを塗る
- 十分な養生期間を設け、樹脂とトップコートが完全に硬化するまで触れない
- 養生をしっかり行うことで、防水性能が安定する
- 日光や雨風による劣化を防ぎ、美しい見た目を維持できる
養生を怠れば、表面に傷がついたり硬化不良を起こしたりする恐れがあります。仕上げと養生を丁寧に行うことが、防水層の寿命を延ばす決め手です。
FRP防水のよくある質問

FRP防水を検討する際には、「耐用年数はどれくらいか」「定期点検の頻度はどれくらいか」「どのようにメンテナンスしたらいいか」といった疑問を抱くものです。ここでは、よく寄せられる質問に回答していきます。
耐用年数はどれくらいですか?
FRP防水の耐用年数は、10年〜15年程度が目安です。樹脂が硬化することで強固な防水層を作り、通常の使用環境であれば10年以上の防水性能を維持できます。
- 紫外線や雨風にさらされる屋外では、徐々にトップコートが摩耗していく
- 5年ごとにトップコートを塗り替えることで、寿命を維持できる
- 10年を過ぎたら全面改修を検討する
たとえば、バルコニーに設置した植木鉢を移動したときに傷が付くと、傷口から劣化が進行していきます。FRP防水は10年以上持ちますが、適切なメンテナンスでさらに寿命を延ばすことが重要です。
定期点検の頻度はどれくらいですか?
FRP防水の定期点検の頻度は、5年に1回程度が望ましいです。外観から分かりにくい小さなひび割れや摩耗を放置すると、雨漏りの原因になってしまいます。
- 普段は問題なく見えても、ゲリラ豪雨や台風で水が染み込むと、防水層の内部が劣化していく
- 定期点検で早期に補修できれば、大規模な補修工事を防げる
防水層の施工から10年以上点検をしないと、防水層の大部分を張り替えるリスクが高くなってしまいます。5年に1度の定期点検を心がけると、長期的に見て安心です。
どのようにメンテナンスしたらいいですか?
FRP防水のメンテナンスでは、定期的な清掃とトップコートの塗り替えが基本です。
- ゴミや落ち葉が排水口を塞ぐと水が溜まり、防水層に負担をかけてしまう
- トップコートは紫外線や風雨、衝撃などで劣化するため、5年〜7年ごとに塗り替える
バルコニーに土埃や砂利が溜まったまま放置すると、歩行時に擦れて表面が削れ、劣化が進んでしまいます。重い物や鋭利な物を置かないようにすることも重要です。日常的な清掃と定期的な塗り替えで、FRP防水を長持ちさせましょう。
FRP防水を信頼できる工事業者に依頼しよう
FRP防水は耐久性やメンテナンス性に優れた工法ですが、正しい施工手順や丁寧な仕上げがあってこそ性能を発揮します。そのため実績が豊富で信頼できる工事業者に依頼することが大切です。費用相場を理解し、相見積もりで各業者の特徴を比較したうえで、安心して任せられる業者を選びましょう。
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