外壁カバー工法とは?費用・メリット・工事手順まで徹底解説
外壁カバー工法は、既存の外壁を撤去せずに新しい外壁材を重ね張りする工法です。外壁材の撤去や処分が不要なため、工期を短縮しながら費用も抑えられます。そこで本記事では、外壁カバー工法の仕組みやメリット・デメリット、費用、手順、業者の選び方まで詳しく解説します。
外壁カバー工法とは?

外壁カバー工法とは、既存の外壁を撤去せずに上から新しい外壁材を重ね張りするリフォーム方法です。外壁の見た目を一新できるだけでなく、断熱性や防音性の向上も期待できます。ここでは、仕組みと特徴、施工できる外壁材の種類、張り替え工法との違いについて詳しく解説します。
仕組みと特徴
外壁カバー工法は、既存の外壁の上に胴縁(どうぶち)と呼ばれる下地材を取り付け、その上に新しい外壁材を張る工法です。既存の外壁材を撤去しないため、撤去作業や廃材処分にかかる時間と費用を削減できます。
- 新しい外壁材と既存の外壁材の間に空気層ができ、断熱性や防音性が向上する
- 工期が短く、生活への悪影響を抑えられる
- 一般的な戸建住宅なら1〜2週間程度で工事が完了する
- 外壁の見た目を一新できる
一方で、既存の外壁の状態が悪い場合は、上から新しい外壁材を施工しても内部の劣化が進行するリスクがあります。そのため、事前の診断がとても重要です。
施工できる外壁材の種類
外壁カバー工法で使用できる外壁材には、主に金属サイディングと窯業系サイディングがあります。
| 外壁材の種類 | 特徴 |
| 金属サイディング (ガルバリウム鋼板やアルミなど) | 軽量で耐久性が高く、特に耐震性への影響を抑えたい場合に適している 表面の塗装技術が進化しており、デザインやカラーの選択肢も豊富にある |
| 窯業系サイディング (主成分がセメント) | 質感やデザイン性に優れ、レンガや石材のような見た目を再現できる 金属サイディングよりも重量があるため、建物の構造や耐震性に配慮する |
樹脂系や木質系のサイディングを使うこともできますが、耐久性やコストの面から主流ではありません。選定時には、デザインだけでなく耐用年数やメンテナンス性も考慮することが重要です。
張り替え工法との違い
外壁のカバー工法と張り替え工法では、コストや補修に違いがあります。
| 外壁工事の種類 | コスト | 補修 |
| カバー工法 (既存の外壁材の上から新しい外壁材を張る) | 既存の外壁を撤去しないため、工期が短く費用も抑えられる | 下地や内部の劣化を直接補修することは難しい |
| 張り替え工法 (既存の外壁材をすべて撤去し、新しい外壁材を張る) | 既存外壁の撤去や廃材処分に費用と工期がかかる | 下地の劣化部分を補修でき、構造的な問題にも対応できる |
したがって、既存の外壁に構造的な問題がない場合はカバー工法が向いていますが、内部の腐食や構造的な劣化がある場合は張り替え工法が適しています。外壁リフォームに失敗しないためには、違いを理解したうえで適した工法を選ぶことが重要です。
外壁カバー工法のメリット・デメリット

外壁カバー工法には、コスト削減や機能性向上などのメリットがある一方で、耐震性の低下や内部の劣化などのデメリットがあります。ここでは、代表的なメリットとデメリットについて分かりやすく解説します。
メリット①工期が短く費用を抑えられる
外壁カバー工法は、既存の外壁を撤去せずに新しい外壁材を重ね張りするため、撤去や廃材処分の工程が不要です。
- 張り替え工法よりも工期を短縮でき、費用を抑えられる
- 工事期間中の生活への悪影響を抑えられる
コスト削減は、予算を重視する方にとって大きなメリットです。
メリット②断熱性・防音性が向上する
外壁カバー工法では、既存外壁と新しい外壁材の間に空気層ができ、断熱材や防音層として機能します。
- 断熱性が向上し、冬は室内の暖気が逃げにくく、夏は外気の熱を遮断しやすくなる
- 防音性も向上し、室外の騒音が室内に入るのを低減できる
金属サイディングの裏面に断熱材が付いた製品を使用すれば、断熱効果と防音効果を同時に高められます。快適な室内環境を維持しやすくなるだけでなく、冷暖房費の節約にもつながるのが魅力です。
デメリット①建物全体の重量が増加する(耐震性が低下するリスク)
外壁カバー工法は既存外壁の上に新しい外壁材を追加するため、建物の総重量が増加します。
- 窯業系のサイディングは、金属系よりも重い
- 構造強度の低い木造や築古の建物では、耐震性が低下するリスクが高い
リスクを回避するには、軽量な金属サイディングを選び、施工前に耐震診断を行うことが必要です。
デメリット②下地を補修できない(内部が劣化するリスク)
カバー工法では既存外壁を撤去しないため、外壁の内部や下地の状態を直接確認できません。
- 内部に腐食やカビがあっても、見落としてしまう
- 劣化が進行している状態で施工すると被害が広がり、大規模な修繕が必要になる
リスクを減らすには、施工前に外壁診断を行い、必要に応じて部分補修をすることが大切です。
外壁カバー工法の費用

外壁カバー工法の費用は、使用する外壁材や施工条件などによって大きく異なります。工事費用は材料費だけでなく、施工費や足場代などの項目で構成されます。ここでは、外壁材の種類別の費用相場や工事費用の内訳、補助金・助成金の活用について解説します。
外壁材の種類別の費用相場
外壁カバー工法の費用は、外壁材の種類によって変わります。外壁材の種類によって材料費が異なるからです。
サイディングの材料費の目安は、以下の通りです。
- 窯業系サイディング:1㎡あたり3,000~4,000円程度
- 金属系サイディング:1㎡あたり5,000~6,000円程度
- 樹脂系サイディング:1㎡あたり7,000~8,000円程度
- 木質系サイディング:1㎡あたり8,000~10,000円程度
たとえば、100㎡程度の外壁に窯業系サイディングを施工すると、材料費だけで30万~40万円程度が必要です。材料費に足場代・養生費、施工費などを加えた金額が、工事費用になります。
費用の内訳
外壁カバー工法の費用の内訳には、材料費や足場代・養生費、施工費、付帯工事費、諸経費などが含まれます。
- 材料費:外壁材や胴縁、防水シートなどの費用
- 足場代・養生費:安全に作業するための足場設置と養生シートの費用
- 施工費:職人の人件費や加工費用
- 付帯工事費:雨樋の交換や破風板の補修、シーリングなど
- 諸経費:施工管理や安全対策などの費用
見積書を確認する際は、「一式」とだけ書かれていないかをチェックし、詳細な内訳を提示してもらうことが大切です。
補助金・助成金を活用できるか?
省エネ性能の向上や長寿命化などを目的として外壁をリフォームする際は、国や自治体の補助金・助成金制度を活用できる場合があります。
- 省エネ性能の向上:断熱性を高める外壁材を使用する
- 長寿命化 :劣化に強い外壁材を採用し、住宅の耐用年数を延ばす
※参照元:
ただし、補助金・助成金制度によって支給条件が異なり、申請には事前の手続きや工事内容の証明書などが必要です。 総工費の10〜30%程度をカバーできることもあるため、工事前に自治体や施工業者に必ず確認することをおすすめします。
外壁カバー工法の手順

外壁カバー工法は、事前の現地調査から工事後の引き渡しまで、複数の工程を経て行われます。施工の品質を高めるためには、各工程を正しく進めることが重要です。ここでは、外壁カバー工法の手順について詳しく解説します。
現地調査から劣化診断・見積もり・契約まで
最初のステップは、現地調査と劣化診断です。
工事業者が、建物を直接確認します。
- 既存外壁のひび割れや剥がれ、下地の状態をチェックする
- 適切な工法や必要な補修範囲を明確にする
- 調査結果に基づいて、見積もりが提示される
- 使用する外壁材の種類や施工範囲、工期、保証内容などを細かく確認する
- 工事内容に納得したら契約を結び、工事の日程を決定する
契約前の十分な打ち合わせは、工事後のトラブルを防止するために重要です。外壁の劣化を放置する危険性については、動画でも解説していますので、併せてご覧ください。
足場設置から養生・既存外壁の補修・防水シートの施工まで
契約した工事日程に沿って、工事の下準備が開始されます。
- 安全な作業環境を確保するために、足場を設置する
- 周囲の住宅や庭、車などを保護するために、養生する
- 既存外壁の表面に劣化や欠損がある場合は、部分補修を実施する
- 防水シートを既存外壁の上に施工する
既存外壁の補修を怠ると、新しい外壁材の密着性や耐久性が低下する恐れがあります。防水シートは、雨水の侵入を防ぎ、建物内部を湿気から守るために必要です。
新しい外壁材の施工から付帯工事・仕上げまで
防水シートを施工したら、既存外壁の上から新しい外壁材を施工します。
- 下地となる胴縁に新しい外壁材を固定する
- 継ぎ目や端部にはシーリング材を充填して、防水性を高める
- 並行して、雨樋の交換や破風板の補修などの付帯工事も行う
- 表面の仕上げや細部の調整を行い、美観と機能性を確保する
付帯工事を同時に行うことで、外観の統一感が増し、建物全体の耐久性も向上します。
検査から解体・引渡しまで
外壁材の施工後は、業者による検査が行われます。
- 外壁材の固定状況やシーリングの状態、防水性能などを細かくチェックする
- 必要に応じて施主も立ち会い、気になる点があれば修正を依頼する
- 問題がなければ足場を解体し、養生を撤去する
- 保証書や工事記録が渡され、工事が正式に引き渡されます。
保証書や工事記録は、将来の点検やメンテナンスなどに必要となるため、大切に保管しましょう。
外壁カバー工法を依頼する際のポイント

外壁カバー工法は使用する外壁材や施工方法によって仕上がりが大きく変わるため、依頼先の選び方が非常に重要です。ここでは、施工会社の選び方や相見積もりのチェックポイント、施工保証とアフターメンテナンスの重要性について解説します。
施工会社の選び方
外壁カバー工法の品質は、施工会社の技術力と信頼性に左右されます。そのため、過去の施工実績が豊富で、事例写真や工事内容を公開している会社を選ぶことが大切です。
- 経験豊富な業者なら、適した工法の提案や工事中のトラブル対応に長けている
- 現地調査や見積もりの際に、劣化状況や必要な補修について丁寧に説明してくれる
- 対応が早く説明が分かりやすい業者には、丁寧なアフターフォローも期待できる
外壁カバー工法の失敗を避けるためには、安さだけで選ぶのではなく、技術力・対応力・信頼性を総合的に見極めることが重要です。
相見積もりのチェックポイント
外壁カバー工法を依頼する際は、必ず複数の業者から見積もりを取ること(相見積もり)をおすすめします。
- 総額だけでなく、外壁材の種類や施工範囲、工期、保証内容などを確認する
- 見積書に「一式」とだけ記載されている場合は必ず内訳を確認し、不明点を質問する
- 同じ工事費用でも、使う材料や施工範囲が異なれば、仕上がりや耐久性に差が出る
「外壁材:金属サイディング」「防水シート:透湿防水タイプ」など、具体的な製品名や性能まで確認することが必要です。価格だけでなく、品質や条件も比較しましょう。
施工保証とアフターメンテナンスの重要性
高い技術力の業者が適切に外壁カバー工法で施工しても、必ず経年劣化が生じてしまいます。そのため、施工保証やアフターメンテナンスの有無は非常に重要です。
- 施工保証は工法や材料によって異なるが、一般的に5〜10年程度である
- 保証範囲が「外壁材のみか「下地補修まで含むのか」を必ず確認する
- 定期点検や軽微な補修を継続的に行ってくれる業者なら、外壁の性能を長持ちさせられる
- 無償点検の頻度や保証期間後の有償対応まで確認しておくと、長期的に安心できる
施工保証とアフターメンテナンスがしっかりしている業者を選ぶことで、将来的にトラブルを回避しやすくなります。
外壁カバー工法を信頼できる業者に依頼しよう!
外壁カバー工法は、コストを抑えつつ美観と機能性を向上できるリフォーム方法です。しかし、仕上がりや耐久性は業者の技術力によって大きく左右されます。施工前の現地調査や見積もり内容をしっかり確認し、施工保証やアフターメンテナンスが整った信頼できる業者に依頼することで、安心して長く建物を守ることができます。
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