外壁工事に使用するサイディング!種類・費用・流れ・メンテナンス・業者選び


外壁工事において、サイディングは耐久性やデザイン性に優れた外壁材です。しかし種類や費用、工事の流れなどについて、詳しく知らない方も多いのではないでしょうか。そこで本記事では、サイディングの特徴から種類、費用、メンテナンスまで、外壁工事を検討している方に役立つ情報を分かりやすく解説します。
外壁工事に使用するサイディングとは?

外壁工事に使用されるサイディングは、建物の外壁に張るパネル状の建材で、デザイン性と機能性を兼ね備えています。特に住宅に普及しており、新築だけでなくリフォームにも用いられています。ここでは、サイディングの主な役割やメリット・デメリット、他の外壁材との違いについて解説します。
主な役割
サイディングの主な役割は、建物を外的要因から守る「保護機能」と美しい外観を演出する「意匠性」です。外壁は常に風雨や紫外線にさらされるため、外壁材には耐候性や防水性が求められます。
- サイディングは、建物内部の断熱性や気密性を向上させる役割がある
- 住宅の印象を左右する重要な要素としてデザイン性も備えている
以上のように、サイディングは機能性とデザイン性の両面で重要な役割を果たしています。おしゃれで快適な住環境づくりに貢献する外壁材です。
メリット
サイディングには、次のようなメリットがあります。
- 施工性が高く、工期が短縮できる
- デザインやカラーバリエーションが豊富である
- 断熱性や防火性を備えた製品も多い
工場であらかじめ成形されたパネルを外壁に張るだけなので、職人の技量に左右されにくく、均一な仕上がりになります。建物のイメージに合わせた外観をデザインし、機能面でも優れています。
したがって、サイディングはコストパフォーマンスに優れた外壁材です。
デメリット
一方で、サイディングにはデメリットもあります。
- 目地部分のシーリング(コーキング)が劣化しやすい
- パネルごとの継ぎ目が目立つ
たとえば窯業系サイディングは吸水性があり、定期的な塗装や目地補修が必要になります。金属系サイディングでは、表面に傷がつくとサビの原因になります。意匠性を重視する場合には、特に注意しましょう。
そのためサイディング外壁の機能性とデザイン性を維持するためには、定期的なメンテナンスが不可欠です。
モルタル・ALCパネル・タイルとの違い
サイディングとモルタル・ALCパネル・タイルとの違いは、施工の自由度や工期、機能性などです。
外壁材の種類 | メリット | デメリット |
サイディング | 施工が簡単で、価格も比較的抑えられる | 目地のシーリングが劣化しやすく、継ぎ目が目立つ |
モルタル | 職人の手作業で塗り上げるため、自由度が高く、重厚感がある | ひび割れしやすく、施工に時間がかかる |
ALCパネル | 断熱性や防火性に優れている | 水に弱く、塗装が必要になる |
タイル | 高級感があり耐久性も高い | 施工費用が高く、剥離のリスクがある |
したがって、サイディングはコストと性能のバランスが取れた選択肢です。
外壁サイディングの種類

外壁サイディングは、素材の違いによって大きく4種類に分かれます。それぞれに特徴や適した使い方があり、住宅の性能や外観の印象に大きく影響します。ここでは「窯業系」「金属系」「樹脂系」「木質系」のサイディングについて、特徴やメリット、注意点などをわかりやすくご紹介します。
窯業系サイディング:耐久性と防火性が高い
窯業系サイディングは、セメントに繊維質を混ぜて成形した外壁材です。
- 広く普及し、住宅や店舗、商業施設などの外壁に施工されている
- 耐久性・防火性に優れている
- レンガ調・石目調・木目調など、デザインや色のバリエーションが豊富にある
一方で、セメントが主成分のため吸水しやすく、シーリングの劣化や塗膜の剥がれに注意が必要です。10〜15年を目安に再塗装や補修を行うことで、長く快適に使い続けることができます。
金属系サイディング:断熱性と防水性が高い
金属系サイディングは、主にガルバリウム鋼板やアルミニウムなどの金属素材を使用した外壁材です。
- パネルの裏側に断熱材が一体化されている製品なら、断熱性と防水性の両方に優れている
- 軽量で建物への負荷が少なく、耐震性の向上に役立つ
- スタイリッシュなデザインの製品は、モダンな住宅に適している
ただし、表面が金属であるため、キズが付きやすい点にご注意ください。海沿いで塩害を受ける地域では、サビ対策も必要です。
樹脂系サイディング:耐候性とメンテナンス性に優れる
樹脂系サイディングは、塩化ビニル樹脂などを原料とした軽量の外壁材です。北米では広く使われてきましたが、まだ日本ではあまり普及していません。
- 施工が簡単で、外壁リフォームに使いやすい
- 耐候性に優れ、変色や劣化が起こりにくい
- 塗り替えがほとんど不要で、メンテナンスコストを抑えられる
ただし、施工できる業者が限られ、強度や遮音性が他の種類より劣るため、使用環境を考慮して選ぶ必要があります。
木質系サイディング:風合いとデザイン性がある
木質系サイディングは、天然木を使用した外壁材です。
- ナチュラルな風合いや温かみのある見た目が魅力的である
- 木の自然な模様や色合いが生かされるため、和風やカフェ風の建物に合う
- 調湿性と断熱性にも優れ、快適な住環境づくりに役立つ
一方で、木材は湿気や紫外線に弱く、雨や日差しにさらされることで劣化しやすいため、防腐処理や定期的な再塗装が欠かせません。美しさと機能を保つためには、手間をかけて維持管理することが重要です。
サイディング外壁工事の費用相場

サイディング外壁工事を検討する際に気になるのが、費用の目安です。外壁材の種類や施工面積、建物の形状などによって、工事費用は大きく変わります。一般的な価格帯を把握しておくことで、業者の見積もり内容を比較しやすくなります。ここでは、1㎡あたりの施工単価と合計費用の目安、工事費用の内訳、さらに節約法まで詳しく解説します。
1㎡あたりの施工単価と合計費用の目安
サイディング外壁工事の費用は、工事内容によって大きく異なり、1㎡あたり1,000円〜12,000円程度です。たとえば外壁の施工面積が100㎡であれば、合計費用は10万〜120万円程度になります。
- 再塗装 :1㎡あたり5,000〜1万円程度
- 部分補修 :1か所あたり1万〜5万円程度
- 重ね張り :1㎡あたり4,000〜10,000円程度
- 張り替え :1㎡あたり7,000〜12,000円程度
- シーリング:1mあたり1,000円程度(打ち増しと打ち替え)
※上記の単価はあくまで目安で、立地条件や建築構造、施工面積などによって変動します。
重ね張り・張り替えの場合には、サイディングの種類によって材料費が変動します。
- 窯業系サイディング:1㎡あたり3,000~4,000円程度
- 金属系サイディング:1㎡あたり5,000~6,000円程度
- 樹脂系サイディング:1㎡あたり7,000~8,000円程度
- 木質系サイディング:1㎡あたり8,000~1万円程度
※上記の金額はあくまで目安で、製品によって材料費は異なります。
工事費用には幅がありますが、「施工単価×施工面積」で計算すれば概算を求められます。
工事費用の内訳
サイディング外壁工事費用の内訳には、足場設置費や材料費、撤去費、下地補修費、施工費(人件費)、シーリング費、諸経費などが含まれます。
- 諸経費:合計費用の10%程度で、交通費・養生・現場管理費等が含まれる
- 足場設置費:合計費用の10%程度を占め、高所作業のために必要になる
- 材料費:合計費用の30%程度を占め、サイディング材の種類によって変動する
- 撤去費:張り替え前に、古い外壁材を解体・廃棄する
- 下地補修費:傷みや劣化のある下地材を交換する
- 施工費(人件費):職人の工賃で、難易度や工期によって差が出る
- シーリング費:劣化や雨漏りを防ぐために継ぎ目を加工する
※工事費用の内訳は、工事内容(再塗装・部分補修・重ね張り・張り替えなど)によって異なります。
以上のように材料費以外にも多くの作業が含まれるため、工事業者に依頼する際には「何にどれだけの費用がかかっているか」を把握することが重要です。
節約法(補助金・助成金や火災保険)
サイディング外壁工事費用を少しでも抑えたい場合は、国・自治体の補助金・助成金制度や火災保険の活用が有効です。
地域によっては、住宅や店舗などの省エネ化や耐震性向上を目的とした補助金・助成金制度を運営しています。自治体の制度は年度ごとに変わるため、申請前に都道府県や市区町村の公式サイトで確認することが必要です。
※参照元:埼玉県越谷市「持ち家に関する経済的な支援 (購入・補修・建替・維持管理など)」 (https://www.city.koshigaya.saitama.jp/kurashi_shisei/kurashi/sumai/sien/index.html)
また台風や雪などの自然災害による損傷で外壁工事が必要になると、火災保険が適用される場合もあります。給付条件を満たす場合には損傷箇所を写真で記録して、保険会社に申請することで補償が受けられます。
補助金・助成金や火災保険などを活用できれば、工事費用の負担を大きく軽減できます。工事を計画する前に、必ず確認するようにしましょう。
サイディング外壁工事の流れと工期

サイディング外壁工事をスムーズに進めるためには、作業の流れや工期の目安を事前に知っておくことが大切です。全体像を把握しておくことで、スケジュール調整や近隣への配慮もしやすくなります。ここでは、サイディング外壁工事の流れや工期の目安、施工中の注意点などについて解説します。
現地調査から引き渡しまでの流れ
サイディング外壁工事は、事前の現地調査から見積もり、契約、足場設置・養生・撤去・下地処理・施工・シーリング、点検・解体・清掃・引き渡しまで、段階を追って進められます。
- 現地調査:外壁の面積や状態、足場の設置スペース、搬入経路などをチェックする
- 見積もり・契約:調査結果を基に提案され、打ち合わせを経て契約書を交わす
- 足場設置と養生:安全かつ周囲に配慮した環境を整える
- 撤去・下地処理:必要に応じて既存外壁材を撤去し、下地処理を施す
- 施工:部分補修・再塗装・重ね張り・張り替え・シーリングなどを行う
- 点検・解体・清掃:必要に応じて追加工事を行う
- 引き渡し:問題なければ工事が完了となる
上記のように、複数の工程を経てサイディング外壁工事は進みます。必要な工事内容によって工程は異なるため、施工前の打ち合わせがとても重要です。
工期の目安
サイディング外壁工事の工期は、施工面積や立地条件などによって変動し、1週間前後から4週間以上です。足場設置・養生から撤去・下地処理・施工、点検・清掃・解体までの工程が含まれます。
- 足場設置・養生:1~数日
- 撤去・下地処理:1~数日
- 施工:1週間前後~3週間前後
- 点検・解体・清掃:1~数日
※上記の工期はあくまで目安で、建物の形状が複雑な場合や悪天候の影響で作業が中断される場合などは、予定より工期が長引きます。
引越しや長期不在の予定がある場合は、工期の見込みを事前に確認しておくと安心です。不測の事態に備え、余裕を持ったスケジュールを立てましょう。
工事中の注意点
サイディング外壁工事中のトラブルを防ぐためには、居住者はもちろん近隣住民への配慮が必要です。
- 足場設置や外壁材搬入のために騒音や振動が発生するため、事前に近隣へ説明する
- 塗料やシーリング剤の臭いや飛散防止のために、養生や換気を工夫する
- 建物内で通常の生活はできるが、窓やベランダの利用が制限される
以上の点に注意しながら、施工業者としっかりとコミュニケーションを取ることで、サイディング外壁工事をスムーズに進行できます。安心して工事を進めるためには、事前の情報共有と小さな気配りが重要です。
サイディング外壁の耐用年数とメンテナンス

サイディング外壁を長持ちさせるには、素材ごとの耐用年数を把握し、適切なタイミングでメンテナンスを行うことが重要です。劣化の兆候を見逃さず早めに対処することで、外壁の機能と美観を維持できます。ここでは、耐用年数の目安や劣化の原因、具体的なメンテナンス方法について解説します。
施工後の耐用年数(メンテナンスのタイミング)
サイディング外壁の耐用年数は使用する素材によって異なりますが、一般的に10〜30年が目安です。
- 窯業系サイディング:塗膜の防水性が低下するため、5〜10年ごとに再塗装する
- 金属系サイディング:サビや退色を防ぐために、10〜15年ごとに再塗装する
- 樹脂系サイディング:耐候性が高く、再塗装の手間がほとんどいらない
- 木質系サイディング:3〜5年ごとに、防腐処理や再塗装が必要になる
※ただし施工環境やメンテナンスの頻度などによって、実際の寿命には大きな差が出ます。
外壁を長持ちさせるためには、定期的な点検と計画的なメンテナンスが欠かせません。
劣化(ひび割れ・反り・剥がれ)の原因
サイディング外壁が劣化する主な原因は、紫外線・雨水・温湿度などの自然環境です。
- ひび割れ(クラック):乾燥・膨張収縮、地震などの揺れのため
- 反り・浮き:吸水と乾燥の繰り返しや施工不良による変形のため
- 剥がれ・欠け:衝撃や経年による接着力の低下のため
- 色あせ(退色):紫外線や風雨による塗膜の劣化のため
- チョーキング(白い粉):塗膜の分解で表面が劣化したため
- シーリングのひび・はがれ:紫外線や温度変化による硬化・収縮のため
- カビ・コケの発生:湿気や通気性の不足、防カビ機能の低下のため
- 金属系のサビ:塗膜のキズや劣化による酸化のため
サイディング外壁の劣化症状を放置すれば、建物の構造体に悪影響を与えるため、早期発見・早期対応が非常に重要です。定期点検を習慣化することで、大規模修繕の費用を削減できます。
メンテナンス方法(再塗装・重ね張り・張り替え)
サイディング外壁のメンテナンス方法には、劣化の程度に応じて「再塗装」「重ね張り」「張り替え」の3つがあります。
メンテナンス方法 | 劣化の程度 | 詳細 |
再塗装 | 軽度 | 塗膜を保護し、防水性や見た目を回復できる 重ね張りや張り替えよりも抑えられる |
重ね張り(カバー工法) | 中程度 | 既存の外壁材の上から、新しいサイディングを重ねる 施工費は抑えられるが、構造体にかかる負荷が増える |
張り替え | 重度 | ひび割れや剥がれが広範囲に及ぶ場合に行う 既存の外壁材を撤去して、新しい外壁材を施工する |
メンテナンスには費用と工期がかかりますが、サイディング外壁の性能を維持・向上させられます。劣化の程度に合わせた適切な方法を選ぶことで、建物を長く快適に保ちましょう。
サイディング外壁工事を依頼する業者の選び方

サイディング外壁工事を成功させるためには、信頼できる業者を選ぶことが非常に重要です。費用だけでなく、施工の実績や対応の丁寧さまで含めて総合的に判断することが、後悔のない工事につながります。ここでは、業者選びで押さえておきたい3つのポイントを解説します。
相見積りを取る
外壁工事を依頼する際は、必ず複数の業者から見積もり(相見積り)を取ることが大切です。業者ごとに工事の費用や提案内容などに差があるため、同じ工事内容でも材料費が高めに設定されたり、施工費が安すぎたりする場合があります。
各業者の見積書を比較するメリットは、次の通りです。
- 相場から大きく外れた業者を見抜くことができる
- 「どこに、どれだけの費用がかかるのか」が明確になる
- 無駄を省いて、適正価格での工事が期待できる
- 工事後の追加請求トラブルを防ぐ手助けになる
相見積りを取ることは、納得できる価格と内容で工事を進めるために不可欠です。
口コミ・施工実績・保証・アフターサービスなどを比較する
業者を選ぶときは、見積書の金額だけでなく、「実績」と「信頼性」も重視しましょう。総合的に比較して「長く付き合える業者かどうか」を見極めることが、後悔しないポイントです。
- 施工の実績や画像などを確認すれば、仕上がりの品質がイメージしやすくなる
- 実際に利用した人の口コミや評価も参考になる
- 施工保証の内容やアフターサービスの有無も確認する
たとえば「丁寧だった」「説明が分かりやすかった」といった具体的な内容を確認できれば、安心感を得られます。また、工事後に不具合が見つかった場合に、無償で対応してくれるかどうかで、信頼できる業者かが判断できます。
悪徳業者に気をつける
住宅リフォーム業界では、悪質業者によるトラブルが発生しています。たとえば、「今すぐ工事しないと危険です」と不安をあおって契約を急がせたり、訪問販売で相場より高額な費用を請求したりする業者です。最初は「点検無料」と言いながら、後から必要のない工事を勧めてくる業者もいます。
参照元:朝日新聞「悪質業者の「点検商法」は集合住宅、若い世代にも 警視庁が注意喚起」(https://www.asahi.com/articles/AST4T1PX3T4TUTIL00WM.html)
以下の点に注意して、悪徳業者を避けましょう。
- 契約前にしっかり情報収集を行い、会社の所在地や登録番号を確認する
- 説明が曖昧だったり、契約を急がせたりる場合は、一度立ち止まる
信頼できる業者を見極めるには、「焦らず・疑って・調べる」姿勢が欠かせません。
サイディング外壁工事を信頼できる業者に相談しよう
サイディング外壁工事には、素材選びから施工、メンテナンスまで長期的な視点が求められます。適切な工法と安心できる施工を実現するためには、実績豊富で信頼できる業者に相談することが大切です。相見積もりを取って内容や対応を比較したうえで、納得できるパートナーを見つけましょう。
Ti-PROOFでは、専門的な知識と豊富な実績をもとに、お客様の所有する建物に適した外壁工事をご提案しています。
確かな品質と安心のアフターサービスで、建物の資産価値を守りますので、まずはお気軽にご相談ください。
